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プロジェクト管理におけるリソース スケジューリング

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リソース スケジュールをきちんと整理しておくと、チームが常に集中して取り組める状態を維持できます。リソースを適切に割り当てれば、プロジェクトが予定どおりに終了し、生産性が急上昇します。

プロジェクト管理では、特にプロジェクト マネージャーにとって、リソース スケジューリングが課題となることがあります。チームの規模が大きく、作業ストリームがいくつもある場合、リソース管理に問題が発生しやすくなります。リソースとプロジェクトをうまくすり合わせ、競合が発生しないようにする必要があります。1 つでも想定外のことが起きると、計画のバランスが失われかねません。

この記事では、リソース スケジューリングの概要とプロジェクト管理におけるその重要性について説明するとともに、リソース スケジューリングにまつわる一般的な課題について説明します。

リソース スケジューリングとは

リソース スケジューリングとは、設定された時間枠に合わせて特定のタスクやプロジェクトに資産を割り当てることです。業界によって異なりますが、リソースにはチーム メンバー、設備、施設などが含まれます。

リソース スケジュールには、チーム メンバーから関係者まで誰でもアクセスできます。プロジェクト ライフサイクル全体の所要時間と責任の概要が記載されているので、チーム メンバーは混乱せずに作業を進めることができます。

ほとんどのプロジェクトでは、リソース スケジューリングを通じて以下の 3 つの疑問を解消できます。

  • このプロジェクトにはどのようなリソースが必要か?
  • そのリソースはいつ必要になるのか?
  • そのリソースは利用可能か?

これらの疑問を解消することで、プロジェクト マネージャーは正確なリソース要件、時間的な制約、空き状況を特定できるため、全員が順調に作業を進め、遅延を防ぐことができます。また、効果的なリソース スケジューリングは、チームが空き時間を生産的に活用し、プロジェクトの目標を達成できるようにするために効果的な時間管理を行うための鍵でもあります。

プロジェクト管理におけるリソース スケジューリングの重要性

リソース スケジュールが存在しない場合、優先度の変化を把握するのが非常に難しくなります。リソース プランニングがあれば、リソースが少なく締め切りが厳しい場合でも、作業を継続できます。

リソース スケジューリングが重要である理由は次のとおりです。

プロジェクトの効率を高める

プロジェクトの効率性が損なわれる背景には、リソースの割り当てミスやタスク委任の遅れなど、いくつかの要因があります。リソース スケジューリングにより、マネージャーはプロジェクトのスコープ全体と各プロジェクトに必要なものを把握できるようになります。

企業アプリの開発に上級開発者の関与が必要で、リソース スケジューリングは行っていないとします。この場合、その上級開発者が財務チームと協議する必要があったにもかかわらず、失念してしまい、プロジェクト タイムラインの変更を余儀なくされるといった問題に直面する可能性があります。

リソース スケジューリングでは、プロジェクトの計画段階ですべてのリソースとタスクを割り当てます。こうすることで、リソース競合の修正について心配する必要がなくなります。

リソースの過剰割り当てを防ぐ

新しいアプリの開発を担当する上級開発者がいるとします。その開発者は新しい Web サイトの開発にも関わっているのか? 経営陣が同時に立ち上げたいと考えているチャットボット管理の方はどうか? 意思決定プロセスで、開発者の手がいつ空いているかだけに着目していると、開発者に大きな負担がかかる可能性があります。

リソース管理を行うと、作業を均等に分散して燃え尽き症候群を防止できます。負担の大きい人や作業の少ない人がいたら、すぐに把握できます。

過剰割り当てを防ぐことは、財務的にも理にかなっています。リソース スケジュールに誤りがある、あるいはリソース スケジュールが存在しない場合、プロジェクトへのリソース割り当てが過剰になることが予想されます。余分なリソースは最終的な請求額を増やし、他にできることが制限されてしまいます。

リソース スケジューリング ソフトウェアを使うことで、過剰割り当てを防止できます。ただし、それには学習の時間が必要です。チームの平均的な生産性を評価して、タスクが均等に割り当てられるようにしましょう。

プロジェクトのタイムラインとデリバリーを改善する

一般的なプロジェクトでは、複数の期限があります。たとえば、Web サイトに新機能を導入する場合は、デザインのチェック、ユーザー テスト、予算の見直しを計画します。リソース管理ツールを使用しないと、これらの期限の管理に混乱が生じることがあります。過剰割り当て、タスクの依存関係の見落とし、その他の要因により、チームが期限を守れなくなる可能性があります。

リソース スケジューリングでは、すべての資産とプロジェクトをチームに提示し、プロジェクトのデリバリーを促進する論理的なプロジェクト タイムラインを作成できます。プロジェクトが期限までに完了し、主なパラメータを満たせば、全員が成功したことになります。

リソース使用率を最適に保つ

担当しているプロジェクトは終日を必要としないため、手が空いているチーム メンバーはいないでしょうか。自分のキャパシティを超えた作業を抱えているチーム メンバーはいないでしょうか。リソース スケジューリングは、チームがリソースをどのように使用しているか、およびそのように使用した結果を示します。

無駄を最小限に抑えながら、リソースの生産性を最大限まで引き出したとき、リソースの使用は最適化されますが、そのようなバランスを手作業で見つけることはほとんど不可能で、リソース スケジューリングがなければ、リソースとその空き状況を追跡しきれません。すると、十分に活用されていないリソースや過剰に利用されているリソースを特定することが難しくなり、役割の効果的な割り当てに苦労することになる可能性があります。

リソース スケジューリングによって、各チーム メンバーのタスクがリアルタイムで表示されるため、問題が発生してもすぐに調整できます。たとえば、時間に余裕があり、高いスキルを持った人にタスクを再割り当てしたり、チームのキャパシティのバランスを取り直したりすることができます。

リソース スケジューリングのタイプ

リソース スケジューリングへのアプローチはプロジェクトごとに異なります。それぞれのアプローチをいつ使用すべきかを理解することで、チームのニーズに最適な戦略を見極めることができます。

以下に、リソース スケジューリングの一般的な方法を示します。

  • 時間ベースのスケジューリング: この方法では、プロジェクトを実行する特定の時間帯と期限に焦点を当てています。リソースの空き状況ではなく、いつタスクを完了する必要があるかに基づいてリソースを割り当てます。時間ベースのスケジューリングは、製品発売やマーケティング キャンペーンなど、期限が決まっているプロジェクトに適しています。
  • リソース平準化: リソースは限られているが期限は柔軟な場合、リソース平準化は作業負荷のピークをならすのに役立ちます。この方法では、チームのキャパシティに合わせてプロジェクト タイムラインを調整します。つまり、3 つのキャンペーンを同時に実行して優秀なデザイナーに過剰な負荷をかける代わりに、プロジェクトを数週間延長します。
  • リソース平滑化: 平準化とは異なり、リソース平滑化では元のプロジェクト タイムラインを維持しながら、その時間枠内で作業を再配分します。この方法は、期限の交渉の余地がないときに、チームの作業負荷のバランスをとる必要がある場合に有効です。たとえば、同じプロジェクト フェーズ内でいくつかのタスクの実行時期を調整します。

どの方法が最適であるかは、一般的にプロジェクトの複雑さによって決まります。明確なタイムラインが設定されたシンプルなプロジェクトでは、多くの場合、時間ベースのスケジューリングだけで済みます。一方、いくつもの依存関係を持つ複雑なプロジェクトでは、ボトルネックを防ぐためにリソースの平準化や平滑化が役立ちます。

次のプロジェクトのために効果的なリソース スケジュールを作成する方法

真に効果的なリソース スケジュールを作成するには、単にタスクを並べるだけでは不十分です。空き状況、スキル、およびプロジェクト ゴールに対する戦略的なアプローチが必要です。

以下に、Jira を活用してこの課題に取り組む方法を紹介します。

ステップ 1: プロジェクトを作成する

まず、Jira でプロジェクトを設定します。これが、正確なスケジューリングとタスク管理の基礎となります。このステップでは、すべてのスケジュール決定の指針となる枠組みを確立します。スクラム、カンバン、またはカスタム アプローチなど、ワークフローに合ったプロジェクト テンプレートを選択してください。この選択は、プロジェクト ライフサイクル全体でどのようにリソース スケジュールを視覚化し、管理するかに影響します。

ステップ 2: プロジェクトのタスクを作成する

Jira で適切に課題を作成することで、正確なリソース割り当てが可能になります。個々のアクションにはタスク、より大規模なプロジェクトにはエピック、要件にはストーリー、修正が必要な問題にはバグなど、作業に合った課題タイプを使用します。タスクの要件をチーム メンバーのスキルおよび経験に合わせます。熟練した開発者は複雑な統合を 2 日で完了できますが、経験の少ない開発者は 1 週間かかります。リソース スケジュールには、これらのスキルの違いを反映する必要があります。

ステップ 3: リソースの空き状況とスケジュールを評価する

カレンダー、現在の作業負荷、休暇の予定を確認して、リソースの確保に影響する制約を特定します。Jira で作業を視覚化すると、リソースの割り当てについてさまざまな視点が得られます。Jira のボード ビューにはワークフロー ステップに含まれている課題が表示され、タイムライン ビューは作業計画、進捗追跡、依存関係のマッピングに役立ちます。これらの視覚的なツールは、スケジュールが狂う前に問題を特定するのに役立ちます。

ステップ 4: 定期的に監視して調整する

進捗を追跡し、遅延や変更が発生した場合は必要に応じてリソースを再割り当てします。Jira はデータに基づいたレポートとインサイトを提供するので、プロジェクトがどのように進化し、優先順位が変化したかを把握するのに役立ちます。定期的な確認を通じてチームとのオープンなコミュニケーションを維持することで、問題を早期に発見し、問題が深刻化する前に調整できます。Jira のレポートをタイムライン ビューと組み合わせて使用することで、チームはリソース スケジュールが実際のプロジェクトの進捗とどの程度合っているかを効果的に監視できます。

これらのステップに従って Jira の強力な機能を活用することで、プロジェクト効率を向上させ、最適なリソース利用を確保する効果的なリソース スケジュールを作成できます。

リソース スケジューリングの一般的な課題

理想は、リソース スケジューリングが問題なく行え、ほとんどのスケジュールが順調に進み、リソースが常に利用可能である状態です。

しかし、多くのチームがプロジェクトの制約、スコープの変化、利害の対立に悩まされています。たとえば、コンテンツ チームは新たにフリーランサーを使って Web サイトのブログを作成したいと考えていますが、広告スタッフは新しい広告コピーを最初に作るべきだと考えています。しかし、優先順位付けは、リソース スケジューリングの鍵となります。

ここでは、リソース スケジューリングでチームが直面する 4 つの一般的な課題を紹介します。

リソースの競合と過剰割り当て

一般的に、チームの最大の問題は、過剰割り当てです。通常は、シンプルなリソース スケジューリングで極端な過剰割り当てを防ぐことができますが、この問題は、思ったより根が深いです。

たとえば、ある人に 3 つのタスクを同時に割り当て、それぞれが 1 日の作業量の 3 分の 1 を占めているとします。それではあまり余裕がありません。1 つのプロジェクトに遅れが生じると他のプロジェクトも遅れるため、作業者にとってストレスになり、期限に間に合わせようと焦り始めます。つまり、チームのリソースに競合が生じています。

リソース スケジューリングでは過剰割り当ての問題を根絶できないかもしれませんが、発生を抑えることはできます。必ずリソース管理計画を立て、常に最新情報に注目してください。

リソースの可用性とスキルの管理

リソース スケジューリングによってタスクの割り当ては容易になりますが、誰も対応できない場合はどうなるでしょうか?

リソースの平準化とは、限られたリソースに合わせてタスクの期限を延ばすことです。たとえば、1 人のデザイナーが 2 つの広告キャンペーンを担当する必要がある場合は、別のデザイナーを雇うのではなく、プロジェクトのタイムラインを延長できます。

スプレッドシートやホワイトボードに依存している場合には、必要な情報を見つけにくいかもしれません。特定のプロジェクトに関わっているメンバーが一覧表示されていても、特定のスキルや空き状況を探すときには役に立ちません。

Jira のような効果的なリソース管理ソフトウェアを使えば、各チーム メンバーのスケジュールと能力を追跡できます。このソフトウェアを使用すれば、潜在的なボトルネックが拡大する前にそれを特定し、リソースの平準化などの手法を実行できます。

変更と不確実性の管理

リソース スケジューリングは、プロジェクト管理チームが変更に対応する際に役立ちますが、スケジュールに余裕がない場合は十分ではありません。

新しいクライアントを獲得したり、チーム メンバーが産休を取ったりすることも考えられます。過密なスケジュールでリソースに余裕がない場合は、どのように組み込めばよいでしょうか? このような事態が発生したときには通常、3 つの選択肢があります。いずれかのプロジェクトを一時停止する、期限を遅らせる、あるいは追加のスタッフを採用することです。

ソフトウェアを使用すると、変更を管理しやすくなります。Jira では自動的に変更通知が届くので、余裕をもって次のステップを決定できます。

複数のプロジェクトと優先事項のバランス

チームの誰もがプロジェクトや優先事項を抱えています。チーム メンバーのゴールが一致していても、複数のプロジェクトのバランスをとる必要があり、リソース スケジューリングでは優先順位を決めるための決定的な要因は得られません。

リソースを適切にスケジューリングすれば、問題を解消することはできますが、それだけが解決策ではありません。個人のモチベーションを見落としていることがあります。このため、チームとの定期的なコミュニケーションが不可欠です。プロジェクトに関する最新情報を求め、批判の声にも耳を傾けることが重要です。

この課題は、さまざまなタイプの作業を管理している場合には、より複雑になります。ガント チャート上ではすべてがぴったり収まっているように見えても、現実にはプロジェクト間でコンテキストが切り替わるため、全員のペースが落ちる可能性があります。多様なタスクにやりがいを感じるチーム メンバーもいれば、1 つのプロジェクトに集中して作業した方がより良いパフォーマンスを発揮するチーム メンバーもいます。

リソース スケジューリングのベスト プラクティス

効果的なリソース スケジューリングは、単に人とタスクをマッチングさせるだけではありません。プロジェクトの破たんやチームの燃え尽きの原因となる、よくある落とし穴を防ぐ戦略が必要です。

次のリソース スケジューリングのベスト プラクティスに従ってください。

  • スケジュールにバッファの時間を含める: 常に予定を詰め込むようなことはしません。たいてい、タスクは予定より長引いたり、緊急事態が発生したりします。また、人にも休息が必要です。大部分のタスクには、時間に余裕を持たせる必要があります。このバッファが、1 つのタスクの遅延によってプロジェクト全体のタイムラインが乱れることを防ぎます。
  • チーム内での定期的な確認をスケジュールする: 毎週または隔週でミーティングを実施すると、問題を早期に発見できます。ミーティングは長時間実施する必要はありません。障壁や空き状況の変化を明らかにできれば十分です。チーム メンバーは、危機的状況になるまで問題に触れることをためらいがちなので、会話のための安全なスペースを作ります。
  • 過去のデータを活用して計画を改善する: タスクを追跡し、タスクや大規模なプロジェクトの実際の所要時間を見積もりと比較して把握します。プロジェクトをいくつか完了すると、パターンが見え始めます。設計レビューには常に予定の 2 倍がかかったり、開発者のコーディング タスクが早めに終わっていても、たいていはテストで余分な日時が必要になったりすることがあります。このデータを利用して、次回の見積もりを改善します。

Jira ではプロジェクト情報を 1 か所にまとめ、タイムライン ビュー、キャパシティ計画、カスタム フィールドなどの機能によってリソース割り当てを一元的に把握できるようにします。同時に、Jira Product Discovery を使用すると、どのプロジェクトにリソースが必要になるかを確定前に優先順位付けできるため、緊急のタスクだけでなく、影響の大きい作業に対してもリソースをスケジュールできます。

Jira によるリソース スケジューリングの最適化

Jira タイムラインのスクリーンショット。

スプレッドシート、メール スレッド、さまざまなカレンダー アプリを使いこなそうとする必要はありません。Jira では、タスクと責任を包括的に把握できる、統合されたプラットフォームを提供しています。カスタム フィールドなどの機能を使用すれば、情報に基づいてリソースに関する判断を下すために不可欠な特定のデータ ポイントを追跡できます。Jira のタイムライン ビューでは、プロジェクト スケジュールの全体像が描かれ、タスクの依存関係やリソース割り当てがシームレスに表示されます。

Jira のダッシュボードでは、さまざまなプロジェクトにおけるリソースの使用状況に焦点を当てた、パーソナライズされたビューを作成できます。Jira のプラン機能ではキャパシティ計画により、課題が生じる前に過剰割り当てを防ぐことができます。要約ビューでは、プロジェクト ステータスとリソース割り当てを迅速に把握できるため、関係者との効果的なコミュニケーションが容易になります。

Jira のリソース スケジューリング機能を強化した Jira Product Discovery では、チームがアイデアに効果的に優先順位を付けることができます。どのプロジェクトがリソースを投入する価値があるかを判断するのに役立ち、すべてのアイデアが自動的にプロジェクトになることはありません。Jira Product Discovery は、影響、労力、戦略的連携を評価することによって、よりスマートなリソース割り当ての意思決定を可能にします。

ディスカバリー作業をデリバリー計画と統合することによって、不要なプロジェクトへのリソース割り当てを回避でき、チームが適切なタスクを効率的に遂行することに集中できるようになります。

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